A1-2-1 木葉渡

作品名:「江戸ノ花」「木葉渡」「早竹虎吉」
出版:安政4年(1857)2月
絵師:歌川国芳
版型:大判錦絵
所蔵:MFA Boston(MFA-11.21921)

早竹虎吉(はやたけ とらきち)は、文政頃(1818~1830)に京都で生まれ、のちに大坂を中心に活躍した軽業師である。大坂では天保14年(1843)から約10年に渡って興行し、活躍した。この作品が描かれた安政4年に江戸に下り、初のお目見得となる西両国興行を行い、人気を博した。安政4年の2ヶ月ほどの短期間で早竹虎吉を描いた錦絵が30点以上も出版されており、その大人気を物語っている。
この作品が描かれた10年後の慶応3年(1867)に、早竹虎吉は約30人の一座を率いて横浜からアメリカへ渡り、サンフランシスコやニューヨークなどで興行する。しかし、巡行先のニューヨークで慶応4年(1868)に心臓病によって命を落とした。
この作品は、早竹虎吉が両手に子方をぶら下げ、綱に吊るした吊り輪に足を引っ掛けて綱を渡る「木葉渡」の軽業を描いている。子方は、法被の文字から、興行に同行していた徳蔵と福松であろう。なお、他の浮世絵によれば、虎吉が子方の一人を片手で掴み、手拭いで作った輪をもう一方の手に持ち、もう一人の子方がその輪に足を掛けてぶら下がるなど、木葉渡にもバリエーションがあったようである。(甲斐)

参考文献
川添裕『大江戸カルチャーブックス:江戸の大衆芸能 歌舞伎・見世物・落語』、青幻舎、2008年
大石学『江戸まるわかり事典』、大石学出版社、2005年
国立民族学博物館『見世物大博覧会』、2016年

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