B2-1 海座頭

書名:『今昔続百鬼』巻一
作者:鳥山石燕
書型:半紙本3巻1冊
出版:安永8年 (1779)
所蔵:The British Museum(BM-JIB0147.)

最初の海にまつわる妖怪は『海座頭』である。海座頭は、鳥山石燕の作品の他に江戸時代の妖怪絵巻「百鬼夜行絵巻」に登場している妖怪だ。海座頭は、主に琵琶法師のような見た目の巨人であり、杖を右手に持ち、琵琶を背負った坊主姿で描かれる。座頭とは江戸期における盲人を指す言葉であるので、描かれる際は目を閉じた状態で描かれている。海座頭は海の上を自由に動き回ることができ、漁師を驚かすことや手招きをすることで船を呼び寄せ、船を転覆させるなどといったことを人間に対して行う。しかし、海座頭に言われた言葉に対して正直に解答すれば、姿を消すというパターンもある。
また、海に棲む坊主頭の巨人で、船を襲うとされている海坊主の仲間であるとされているのだが、海坊主と海座頭が同時に出現することはなく、海坊主が現れなくなると、海座頭が出現するとされている。同じ座頭の妖怪では、陸地に生息する大座頭がいる。
そして、彼らの伝承は全国各地の沿岸部に存在している。(榎並)


参考文献
草野巧『幻想動物事典』
デジタル大辞泉プラス「海座頭」

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