伊勢物語 いせものがたり
写本、大本、1冊

1冊。29.8cm×21.2cm。書写年代不明。表装は青鈍色。外題は中央打付墨書。

「伊勢物語」の作者は業平の自記、紀貫之の作など諸説あるが未詳。本朝初、またほとんど唯一の歌物語として知られており、日本文学史上、意義深い存在である。「源氏物語」総角巻で「在五が物語」、「狭衣物語」で「在五中将の恋の日記」という名称で登場し、後続の和歌や物語にも影響を与えたと考えられる。
延喜年間以前にその原型が成り、在原業平の家集「業平集」を参考として作られたものが段階的に増補され、種々の異本が成立したと考えられる。
本書は鎌倉時代から流布した定家本の系統で、在原業平の逸話と和歌を軸に物語を展開し、在原業平に擬せられる主人公「おとこ」の一代記という体裁をなしている。内題・跋・奥書がなく、五十八段の途中から後半が欠巻となっている。