「長恨歌」古鈔本の書写。奥書に天和三年六月、船橋(清原)宣賢の自筆本を書写した旨が記されている。宣賢自筆本の古鈔本と言えば、龍門文庫蔵本が知られている。西園寺文庫蔵本も、「長恨歌伝」・「長恨歌序」を併せもつ点で宣賢自筆本と一致するものの、訓点や声点で異なる箇所も見られる。宣賢研究及び本邦室町時代の「長恨歌」受容を考える上での貴重な一本である。
この西園寺文庫本について言及のある論文としては、山崎誠「長恨歌抄と長恨歌絵巻」(『中世の知と学-〈注釈〉を読む』森話社 1997.12)、中本大「長恨歌-古版古文真宝影印-解題」(『礎馴帖 村雨篇』礎馴帖刊行会 2002.7)などがある。