2011年12月17日(土)・18日(日)、立命館大学朱雀キャンパス「大講義室」にて開催。
2009年オックスフォード大学博士課程修了。2010年博士号取得。2009年10月より立命館大学衣笠総合研究機構PDとして勤務。在外日本美術コレクション研究や文化交流史を専門とする。
現在『和樂』で様々な日本文化を紹介する「日本美のこころ」を連載中。
文化財を未来に残していくためには様々な方法がある。しかし、「文化財を残す」と言う問題が議論されるとき、焦点となるのはそのモノ自体をいかに保存するかであったように思われる。モノの保存が最優先課題であることは言うまでもないが、様々な媒体にその「記憶を遺す」ことも同様に重要である。
2010年に開催された国際シンポジウム「文化財の現在・過去・未来 ─デジタルとアナログ共存の意義―」では、文化財保護・継承の第一線で活躍される方たちに、様々な立場からお話しを頂いた。そこで浮き彫りになったのは、「支えている人の問題ではなく、文化財を支えているモノ(保護するために必要な素材など)がなくなっているせいで、日本の文化財保護の状況が日に日に厳しくなっている」ということであった。
本発表では、今回のシンポジウムで議論された内容を踏まえ、これからの文化財をよりよい方法で残していくために、何が必要とされているのかを「記憶を残すことの意義」を中心に検討していきたい。