間狂言(間)

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総合

一曲の時間構造の中で、狂言方きょうげんかたの役者が担当する部分を、間狂言あいきょうげん(またはあい)と呼ぶ。間狂言の多くは、次の形式に属する。

  1. 複式夢幻能ふくしきむげんのうを中心とした能の中で、前場まえば・ぜんば後場のちば・ごばの間(中入なかいりの部分)に演じられるもの
    1. シテしてが往古の人物の幽霊である曲やシテが神である曲で、土地の人物が登場し、シテにまつわる昔話やいわれを、1) ワキわきとの会話や、2)独白やアイ同士の会話で語るもの。1)の形式を「間語リあいがたり」「居語リいがたり」または「語リ間かたりあい」と呼び、2)後者の形式を「立シャベリたちしゃべり」または「立シャベリ間たちしゃべりあい」と呼ぶ。例がたいへん多く、《敦盛あつもり》などの間狂言(間語リ)・《大会だいえ》などの間狂言(立シャベリ)などがそれに当たる。
    2. 風流ふりゅう的色彩のある脇能わきのうで、その曲で取り上げられる神の末社の神が登場し、社のいわれや神徳を述べ舞を舞い、めでたく収める。この形式を「末社間まっしゃあい」と呼ぶ。《竹生島ちくぶしま》などの間狂言がこれに当たる。
    3. 風流ふりゅう的色彩のある脇能の中で、通常とはまったく異なる、さらににぎやかな演出を行うもの。このような間狂言は小書こがきの一種であり、それを「替エ間かえあい」と呼ぶ。《賀茂かも》の小書の「御田おんだ」・《嵐山あらしやま》の小書の「猿聟さるむこ」などがこれに当たる。
  2. 現在能げんざいのうにおいて、曲の最初や前場と後場の間(中入の部分)に演じられるもの
    1. 一曲の最初に登場して、一曲全体の導入の役割を果たすもの。「狂言口開きょうげんくちあけ」「口開くちあけ」または「口開間くちあけあい」と呼ぶ。《鶴亀つるかめ》などの間狂言がこれに当たる。
    2. 現在能の中入に武士の下人などとして登場し、事態の急を告げるもの。「狂言早打きょうげんはやうち」「早打はやうち」または「早打間はやうちあい」と呼ぶ。また広くはⅠ①の形式に加えてこれも「立シャベリ」と呼ぶ。《土蜘蛛つちぐも》などの間狂言がこれに当たる。
  3. 一曲の中で登場する場面に一定の決まりはなく、シテやワキなどと会話その他の交渉を持つもの
    1. 夢幻能むげんのうに里人が登場し、シテに場所などを教えるもの。「教エ間おしえあい」と呼ぶ。《ぬえ》などの間狂言がこれに当たる。
    2. 現在能を中心として、能力のうりきなどとして登場し、一曲の筋書きに直接かかわるもの。「アシライ間あしらいあい」と呼ぶ。《道成寺どうじょうじ》や《船弁慶ふなべんけい》などの間狂言がこれに当たる。


間狂言の演出には、狂言方が担当するため、狂言方独特の言葉の抑揚・すばやい動きなどの特徴があり、特にⅢ②などでは、笑いを誘うおどけた役柄であることも多い。