鵲
かささぎ
画題
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解説
東洋画題綜覧
鵲は烏科の鳥で『とうがらす』『朝鮮がらす』『高麗がらす』『肥前がらす』『筑後がらす』『かちがらす』などの異名がある、朝鮮支那に棲息し日本でも九州の北部に二三の棲息地がある、大さは橿鳥位で尾羽長く羽色は純白の部と、緑と紫の光沢ある黒色部とが大体の色彩をなしてゐる、肩や腹、腰の辺は白く、その他は黒い、啼き声は烏に似て居るが、烏よりは低く形は中々整つてゐる。『本草綱目』に曰く
鵲は乃ち烏の属なり、大さ鴉の如くにして長く尾尖り嘴黒く爪緑に、背白く腹、尾翮黒白駁雑す、上下に飛鳴き音を以て感じ而して孕む、視を以て抱へ十二月始て巣ふ、戸を開くに太歳を背にし大乙に向ふ、来歳風多きを知つて巣は必らず卑下くす、故に鵲は来るを知り猩々は往くを知ると、又曰く鵲に隠巣あり木を梁の如くし、他より見えざらしむ、人若しこれを見れば、富貴となるなり、鵲は秋に至れば則ち毛脱し頭禿其性最も湿を悪む、霊能ありて能く喜びを報ず、故に喜鵲と名づく。
と、又、七夕と結びつけられ、牽牛織女両星の相会する天の川の橋は鵲のかけたるものといひ伝へられる。古来画材となること極めて多い。
伝趙涑筆 『老樹棲鵲図』 朝鮮李王博物館蔵
朗世寧筆 『桃花喜鵲図』 北京文華殿蔵
黄道周筆 『松石孤鵲図』 藤田男爵家旧蔵
艾宣筆 『群鵲啄虫図』 笹川鹿堂氏蔵
呉筠筆 『瓊花山鵲図』 松本双軒庵奮藤
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)