地久楽
ちきゅうらく
画題
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解説
東洋画題綜覧
高麗楽の一、略して地久といひ、又円地楽ともいふ、双調で破拍子十二、急拍子十、大曲に准ずるときは狛調子に吹く、肩袒ぐ手あり、此舞の秘事となる、舞人は六人又は四人とす、面帽子常装束であり、此歌に桜人曲がある。
いづれの頃のことにか、大宮右大臣(藤原俊家)殿上人の時、南殿の桜さかりなる頃、うつぶしより、いまだ装束もあらためずして、御階のもとにて、一人花をながめられけり、霞わたれる大内山の春のあけぼのの、世に知らず心すみければ、高欄によりかゝりて、扇を拍手に打ちて桜人の曲を数反うたはれけるに、多政方が陣直つとめて候ひけるが、歌の声を聞きて、花の本にすゝみ出でゝ地久の破をつかうまつりたりけり、花田狩衣袴ぞきたりける。 (古今著聞集六)
大和絵の画題にふさはしく、時に画かれたものがある。
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)