酢吸三聖
すすいのさんせい
画題
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解説
東洋画題綜覧
蘇東坡、黄山谷と共に仏印禅師を訪ひ桃花醋を吸ひ、眉を顰む、これを『三酸』と云ひ又『三吸』といふ。蓋し東坡は儒教であり、黄山谷は道教であり、仏印禅師は仏教なので、三教にも象る、『三酸』『三聖吸醋』などゝ題す、次で俗には孔子、老子、釈迦として画かるものが多い。太田南畝の『南畝莠言』に曰く。
世に酢吸の三聖の図といふものありて、老子、孔子、釈迦のかたちを画けり、按ずるに趙子昂が東坡懿跡の図といふもの一巻あり、その中に云、東坡、黄門黄魯直とともに仏印をとひし時、仏印いはく、吾桃花醋を得たり、甚美なりとて、ともになめてその眉を顰む、時の人称して三酸とす、然れば、東坡、山谷、仏印をあやまりて老子、孔子、釈迦といふなるべし、僧横川が京華集に三教吸醋図詩云。
翁々乞醋到其隣、聳膊忍酸寒迫身、李白題詩妙於画、挙盃邀月影三人
しからば此頃より誤来る事久し。
『酢吸三聖』を画いたものゝ中、主なもの左の如し。
顔輝筆 紀州徳川家旧蔵
狩野元信筆 波多野古渓氏旧蔵
狩野常信筆 帝室博物館蔵
狩野採幽筆 青地家旧蔵
霊彩筆 神戸田村家旧蔵
狩野雅楽之助筆 帝室博物館蔵
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)
画題研究会
南畝莠言
世に酢吸の三聖の図といふものありて老子孔子釋迦の かたちを画けり按ずるに趙子昂が東坡懿蹟の図といふもの 一巻ありその中に云東坡黄門魯直とゝもに佛印をとひし 時佛印いはく吾桃花醋を得たり甚美なりとてともになめ てその眉を顰む時の人称して三酸とす然れは東坡山谷 佛印をあやまりて老子孔子釈迦といふなるへし僧横川か 京華集に三教吸醋圖詩云翁二乞醋到其隣聳膊忍 酸寒迫身李白題詩妙於畫挙盃邀月影三人しからば此 比より誤来る事久し