みのわのしんじゅう
総合
歌舞伎
戯曲、三幕。岡本綺堂作。明治四十四年(1911)九月、二世市川左団次・沢村源之助等により初演。
旗本藤枝外記は、吉原の遊女綾衣に通いつめ、ために御役御免の身となっている。果ては金に困り、廓をぬけた綾衣は、箕輪にある外記の乳母の家にひそんでいる。しかし綾衣の探索もきびしく、外記も叔父に死を迫られ、二人の安住の地は冥途よりないと、盆の七月十三日心中を遂げた。
綺堂の初期の作品で、多分に近代劇の影響を受けているが、主人公外記の恋愛至上主義が当時の青年に新鮮な感銘を与えたものであった。