黒木売

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くろきうり


画題

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解説

画題辞典

黒木は薪なり、洛北八瀬大原の里人、婦女、之を京都の市上に売る。因ってその婦女を黒木賣という。小原女に同じ、同条を見るべし。

東京帝室博物館に翠園堂春信の画あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

黒木は皮ながらの材木、皮つきの丸木、榑の木、山城の八瀬大原から出して京都市中に売る薪で、大原木ともいふ、黒木売はこれを売る小原女のこと。

洛北八瀬及小原より出て薪柴等を洛中に売る、必らず婦の業とす、又必らず頭上に戴き巡る、其夫は朝廷の駕輿丁也と聞く、然るや否や、髺形他民と異にて又月代を剃らず、又或時は階に拍盤横槌等を戴き、大阪及び諸国に行き巡り売之、或は夏月忍草又は若海草等をも売る、蓋し、うちばん、よこつち二品は梼衣の具也、山城国葛野郡梅畑平岡善妙寺辺の婦女子、薪等を戴き京師に出て売之、号けて畑人云、右の黒木うり乃是也。其薪等の下に白布の袋を戴く、号けて畑袋戴袋片袖袋とも云ふ、其故は承久の乱に天皇以下百官ともに此辺に隠れ玉ふにより当地の夫は参集して皇居を守護し、婦女は諸国に往て物を取り供御以下を便ず、此時御衣の片袖を解きて旗袋形に製し戴之て、王宮勤王の笠印とするに賜ふ、拠之今世に至ても戴之、女は関所渡船等の煩ひ無之也、布一幅長鯨尺二尺三寸を二つに折りて縫之たり、中には稿を納る也。  (守貞漫稿)

これを画いた作

富田渓仙筆  『小原の春』  第八回院展出品

鈴木鳥心筆  『洛北夏容』  第十一回院展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)