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つぐみ


画題

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解説

東洋画題綜覧

鶫は鶫科の鳥で普通種の外に種類極めて多く、虎鶫、小虎鶫、眉白、黒鶫、赤腹、白腹、眉茶じない、八丈鶫などがある、普通の鶫は色は背が黒褐色、顔は過眼線の上に頬白のやうな白い眉があり、咽喉は黄白色、胸から腹へかけて灰白地に黒色の著しい斑点があり、嘴は淡褐色、脚は褐色である、此の鳥は夏季にシベリヤ地方で繁殖し晩秋の候になると大群をなして渡つて来る、加賀から信濃あたりへかけて、その通路になるので、よく霞網を張つてこれを捕へる、関西地方では『つむぎ』と呼ぶ。

黒鶫はやゝ小形で、羽色は其名の通り黒色、腹は白く黒の斑点があり、嘴と脚とは黄色、雌は褐色が勝つている、この種は普通の鶫とは違つて夏鳥である。

赤腹は雄は眉がなく頭と背はオリーブ色、胸から腹にかけて両側が褐色、真中は白い、北海道から本州各地の山間に繁殖し、冬になると暖地に去る、眉白はやゝ大形で全身灰色、眼の上に眉のやうな白い斑が目立つ、此の名のある所以である、虎鶫は古の『ぬえ』で、全身褐色をなし半月形の斑がある。

鶫を画いた作は近来極めて多い。

川崎小虎筆  『鶫』      昭和七年革丙会出品

小室翠雲筆  『雨霽』虎鶫   昭和九年環堵塾展出品

水上泰生筆  『虎鶫』     同   日本画会展出品

望月春江筆  『短き秋の日』  第十二回帝展出品

小杉放庵筆  『樹下小集』   昭和十二年個展出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)