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総合

説話伝説に登場する鬼の系譜を簡単に分類してみると

(1)子孫を祝福に来る祖先の霊魂や、土地そのものに潜在する力を象徴する地霊など

(2)地霊の中でも殊の権威がある山に、棲む鬼や、山に生活の拠点をもつ人々が、仏教や道教を取り入れながら修験道を開いていったとき、副次的に生まれた山伏系の鬼・天狗。

(3)仏教系説話にあらわれる邪鬼や百鬼夜行の鬼たち

(4)人間自らが、世間に隠れた部分に在って、世に抗おうとした鬼賊。さいごに、自ら人たることを放棄した。

(5)変身譚の主人公たる鬼。


(4)(5)は鬼は非常に複雑な諸相を持っているが、いずれもその原点に怨恨・復習などの情念を内包している。



【引用文献】 『日本伝奇伝説大事典』 角川書店 昭和61年9月おに


画題

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解説

画題辞典

鬼は本と印度支那に出て、日本に伝わり、普く人に信ぜられたる想像上の一種の生物なり。その面貌極めて獰悪にして、額に双角あり、裸体にして虎の皮を褌とし、多く鉄棒を携ふるを常とす。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

『倭名抄』二に曰く『四声字苑云、鬼、於爾、或説云、隠字、音於爾訛也、鬼物隠而不欲題形故俗呼曰隠也、人死魂神也』と、是れ支那にて鬼といふものゝ釈にて人の幽礼(倭名抄に鬼火、於邇比とある是れなり)即ち古言に、みたま、又はものといふものなり、然るに『易経』下経睽卦に『載鬼一車』疏『鬼魅盈車、怪異之甚也』史記五帝紀『螭魅』註『人面獣身四足好惑人』論衡訂鬼編に『鬼者、老物之精者』などあるより、恐るべきものゝ意に移したるならむ、おには中古に出来し語とおぼし神代紀などに鬼と訓したるは追記なり(一)恐るべき形をなして隠顕常ならず人を害し人を食ふと謂ふ怪物の名、(二)物に隠れたる女、(三)後に絵に画く鬼と云ふは、人の形にて牛角虎牙あり裸体にて腰に虎皮を絡ひ相貌獰悪にして怪力あるものとす、仏経に云ふ夜叉なり。  (大言海)

此の三の形にして画かるゝもの極めて多い大江山の鬼、羅生門の鬼、餓鬼草子、地獄草子、百鬼夜行、お伽草子瘤取り、昔噺鬼ケ島、伊勢物語芥川その他、大津絵に鬼念仏あり、命払う追儺式に払はるゝ鬼、鍾馗に捉はるゝ鬼など。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)