鞍馬天狗

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くらまてんぐ


能狂言


画題

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解説

東洋画題綜覧

謡曲の名、鞍馬寺で花見のあつた時、牛若丸も其席に列したが、客僧の狼籍するとて、人々の帰つたあとに独残り大天狗から兵法の伝授を受くるといふ筋、前シテは客僧、後シテは大天狗、子方は牛若丸、ワキ東谷の僧、狂言は能方、宮増の作である。一節を引く

「松嵐花のあと訪ひて、雪と降り雨となる、哀猿雲に叫んでは腸を断つとかや、心すごのけしきや、夕を残す花のあたり、鐘は聞こえて夜ぞおそき、奥は鞍馬の山道の、花ぞしるべなる、此方へ入らせ給へや、さても此程御供して、見せ申しつる名どころの、ある時は愛宕高雄の初桜、比良や横河の遅桜、吉野初瀬の名所を見のこす方も有らばこそ。

「さるにても、如何なる人にましませば、我をなぐさめ給ふらん、御名をなのりおはしませ、「今は何をかつゝむべき、われ此山に年経たる大天狗はわれなり、「君兵法の大事を伝ヘて平家を亡ぼし給ふべきなり、さも思しめされば、明日参会申すべし、さらばといひて客僧は、大僧正が谷をわけて、雲を踏んで飛んでゆく、立つ雲を踏んで飛んでゆく。

「さても沙那王がいでたちには、肌には薄花桜のひとへに、顕紋紗の直垂の露を結んで肩にかけ、白糸の腹巻白柄の長刀、「たとへば天魔鬼神なりとも、さこそ嵐の山桜、はなやかなりける出で立ちかな。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)