非時香木実

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ときじくのかくのこのみ


画題

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解説

東洋画題綜覧

のこと、垂仁天皇の御宇、多遅摩毛理が常世国から求めて来たといふ。『古事記』に曰く

又、此の天皇、三毛連等が祖、名は多遅摩毛理を常世の国に遣はして、非時香木実を求めしめ給ひき、故、多遅摩毛理、遂に其の国に到りて、其の木の実を採りて、縵八縵、矛八矛を持ちて、参来つる間に、天皇既く崩りましぬ、爾、多遅摩毛理、縵四縵、矛四矛を分けて大后に献り、縵四縵、矛四矛を天皇の御陵の戸に献り置きて其の木の実を擎げて叫び哭びて『常世の国の非時の香の木の実を持ちて、参上りと伝ふ』と白して遂に叫哭び死にき、其の非時の香の木の実といふは、是れ今の橘なり。

この題で柑橘を画けるものに望月春江筆(第十回帝展出品)があり田道間守を画き斯く題せるものに名取春僊筆(昭和十六年海洋美術院出品)がある。

たじまもり「田道間守」の項参照。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)