金札

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きんさつ


画題

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解説

東洋画題綜覧

能の曲名、元清の作で、桓武天皇御遷都の後、神社造営の勅使伏見に至り、金札降るの奇特に逢つたことを作つたもの、前シテは老翁、後シテは天太玉命、ワキ勅使、処は伏見である、一節を引く。

「あら不思議や、天より金札の降り下りて候ふ、すなはち金色の文字すわれり読み上げ給へ、実に/\天より金札の降り下りて候ふぞや、取り上げ読みて見れば何々、そも/\我国は真如法身の玉垣の、内に住めるや御裳濯川の、流れ絶えせず守らん為めに、伏見に住まんと誓ひをなす、「扨此伏見とは、何とか知ろし召されて候ふぞ、「事も愚や伏見の宮居、此御社の事なるべし、「あら伏見とは、総じて日本の名なり、伊弉諾伊弉冉の尊、天の磐座の苔莚に、臥して見出したりし国なれば、伏見とは此秋津洲の名なるベし、「人知らぬ事なり、此国も伏見里の名も、伏し見る夢とも現とも、わかぬ光りの内よりも、金の札をおつ取つて、かき消すやうに失せけるが、しばし虚空に声ありて「是は伊勢大神宮の御つかはしめ、天津太玉の神なり、猶しも我を拝まんと思はゞ、重ねて宮居を作り崇むべしと、「迦陵頻伽の声ばかり虚空に残り雲となり、雨となるや電の、光りの内に入りにけり。

金札は祝言能で君が代を祝ふ事を主としてゐるので、従つて能画として画かるゝ場合も多い。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)