釈迦父子の再会

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しゃかふしのさいかい


画題

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解説

画題辞典

繹筆夜半に迦毘羅城を脱してより十二年.一念の大願に精進し辛酸幾艱難、途に著提樹下に無上正覺を成就す、摩迦陀王国君臣己に之に帰依し、救世の使令半は成る、唯城内に残されたる老父浄飯王と妃耶輸羅姫とは風晨月夕懐旧思慕の情に堪へず、遂に騎馬に長ぜるもの九人を択びて王舎城に遺はして釈尊に歸国を請はしむ、九人至りて円満無上の説教を聴き、洸然として歸るを忘れ、そのまゝに留住ず王更に優陀夷をして竹林精舎に遣はし釈尊に書を致さしむ是に於て釈尊諾して故国を訪はんと告ぐ、父王報を得て大いに歓び、七寶の車駕を具へ鹵簿を壮厳して群臣と出で迎ふ、城内の人亦路上に香華を散じ美妓を列ねて之を待つ、その時釈尊は道衣を着け一杖を右にし一鉢を左にし素手跣足、唯一人を以て顯はる、睹るもの驚愕、父王亦憤憑、而も端厳井厳、慈悲に輝き名利煩悩の影をも止めざるその相貌に接するに於て言ふ所を知らず、唯出離の道を得たるを喜びぬ、翌日父王釈尊を城に伴ふ、釈尊随ひ到り俺留七日にして別を告げ後去つて舎衛城に赴く。燦爛たる慢葢瓔珞、美装の大官貴紳に遶られ、烟脂香芬の間に、金冠白髯の老父王と、一布衣の大救世主と相擁せる光景は批厳無比とすべく、好画題とせらる、明治三十五年の日本絵画協會共進會に横山大観の画けるものあり。

(『画題辞典』斎藤隆三)