那須与一

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なすのよいち


画題

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解説

画題辞典

源平屋島の戦に、さしもに激しく両軍鎬を削りたる、文治二年二月十九日も暮れてければ、両軍互に引き退く所に沖なる平軍の方より小船一艘、汀に向ひて漕ぎ寄するあり、船の中には十八九歳程なる女房の五衣に紅の袴したるがあり、皆紅の日の丸画きし扇を船の背櫂に挟みて陸に向ひて招きたり、源軍あはれ扇を射させんとの事ならん、誰かある味方に射つべきものやなきと、大将軍義経仰せあれば、下野の住人那須与一宗高こそ然らんべからんと答ふるものあり、義経宗高召して之を命ず、宗高一期の曠れと御請けして、黒き駒に跨り弓取りなほし、海の中一段ばかり打ち入り、神仏を心に念じ、両軍環視の間に一箭手を放てば、過たず、鏑は長鳴さして沖を走り、扇の要際射切りて、扇は空に舞ひ上がり、春風に一揉み揉まれて海へ落ちたり、沖には平家舷を敲きて感じ、陸には源氏箙を叩きてどよめき、与一二なき面目を施したり、之を那須与一扇の的と称し、亦屡々歴史画家に画かるゝ所なり。

田中訥言筆(京都青山長祐氏蔵)、菊地容斎図あり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

前賢故実

那須宗隆を見よ。

(『前賢故実』)