観世音菩薩

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

かんぜおんぼさつ


画題

画像(Open)


解説

画題辞典

仏教にて菩薩の一なり、単に略して観音という、常に大慈大悲の心を以て一切衆生を利益し、十方諸国土に其の身を現す。又阿弥陀如来の侍者として、西方極樂界にあり、結跏趺坐して、左手に臍に当てゝ蓮華を持ち、右手は胸に当てゝ施無畏を為すを通常の態となす。変態亦極めて多し、六観音、七観音、三十三観音などの名目あり、各其の条下を見るべし。後世に於ては純芸術の題材と取扱われて自由に描写せらる。金色五彩を以て信仰的に描かれたるものあり、水墨を以て半ば鑑賞的に画かれたるものあり。それ等の名品と数ふべきもの左の如し。

伝呉道子筆観世音菩薩(京都大徳寺所蔵国宝)、伝張思恭筆観世音菩薩(京都曇華院所蔵)、牧渓筆観世音菩薩左右猿鶴三幅対(京都大徳寺所蔵国宝)、筆者不明観世音菩薩(京都天龍寺所蔵国宝)、筆者不明船中湧現観音(高野山龍光院所蔵国宝)、筆者不明観世音功徳図屏風(讚岐法然寺所蔵国宝)、伝張月壺筆観世音菩薩(京都大徳寺所蔵、京都孤蓬庵所蔵)、陳賢筆観世音菩薩(山城隠松堂所蔵)、伝兆殿司筆観世音菩薩(京都両足院所蔵)、兆殿司筆観世音左右花鳥三幅対(三井男爵所蔵)、啓書記筆観音像(鎌倉建長寺所蔵)、啓書記筆観音左右山水三幅対(秋元子爵所蔵)、雪舟筆観音像(毛利公爵所蔵)、啓書記筆観書陶淵明李白三幅対(毛利侯爵所蔵)、足利義持筆観音図(京都長得院所蔵)、芸阿弥筆観音像(京都南禅寺所蔵)

この他、小栗宗丹、僧秋月、雪舟、雪村、狩野元信、狩野探幽等より、近代の諸家に至るまで画く所極めて多し。尚、特殊の観音に就いては各その条を見るべし。

(『画題辞典』斎藤隆三)