見立

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 現代において「見立(みたて)」とは、物事の判断や選択をする場合によく使われるが、江戸時代の「見立」には、あるものを別のものに「なぞらえる」ことをさすほか、浮世絵では独特の意味を持っている。 役者絵における「見立」とは、実際の舞台では演じられていない役あるいは配役を、想定して描かれているものをさす。そこには、なかなか顔合わせのない人気役者同士を共演させたり、上演がなくなってしまった芝居などが描かれる。役者や芝居好きの理想の舞台が、あたかも実現した浮世絵となっている。歌舞伎の「見立」とは、役者の姿を富士に「見立」る見得(「寿曽我対面」)や、髷の頭を梅干しに「見立」る場面(「仮名手本忠臣蔵」)など、あるものを別のものへ「なぞらえる」ことをさしている。歌舞伎の中には、実際のストーリー(歴史や説話・実際におこった事件)が背景に隠されている芝居がある。芝居における見立の「なぞらえる」方法を、いわば芝居の仕立てにあてはめ、時代を「見立」ている。浮世絵の「見立」とは、主に江戸時代においてすでに古典や歴史となっている姿を、当世風に置きかえたものをさしている。  つまり、江戸時代における「見立」とは「なぞらえる」あるいは「置きかえる」一種の遊びであり、江戸時代の人々の機知やユーモアをそこに見ることができる。 (参考 日本国語大辞典第二版 小学館国語辞典編集部 小学館 2001.12)