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らん


画題

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解説

画題辞典

蘭は芳草なり、四時常に青し、春芳しきを春蘭といひ、秋芳しきを秋蘭といふ。今俗に蘭といふは春蘭のことにして、晋人より言ひ始む、君子佳人に比せらるゝ所とく文人画の最も好んで筆にする所なり、其図の多きこと擧ぐるに堪へず。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

蘭の文字は、別に秋の七草の一なる藤袴の漢名にも見るのであるが、ここに云ふ蘭は四君子の一である蘭科の植物で、絵画に現はるるものは普通春蘭と建蘭をさす、建蘭は春蘭の蘭と称せらるゝに対し蕙といふ、建蘭は支那福建省に多く自生するので此の名がある、春蘭の一茎一花なるに対し、よく数花を開くので一茎九華など呼ばる、春蘭は、早春の候開花し芳香を放つのを以て珍重され、一茎一花なる処から独頭蘭の名があり、又幽蘭、報春先などの異名があり、日本でも『ほくろ』『はくり』『ほくり』などの方言もある、駿河には雄蘭と称する種類があり、夏から秋にかけて一茎数花を開く、此の外園芸的品種極めて多い。

蘭の絵画に現はれたものは、古来枚挙に遑もない、梵芳の作最も人口に膾炙され、此外鄭板橋、趙孟堅、管中姫、趙仲穆、楊補之、湯叔雅、楊維幹、陸包山、張秋穀など殊に名高く、我が国では大雅、雲華、崋山、椿山、竹田、靄崖、鉄翁、梅逸、梅関、草坪等が聞えてゐる。

画題亦蘭に関するもの極めて多い。左に主なもの(幽谷佳人幽人贈佩空谷幽芬君子之風国香五清五僧三香四愛四友四逸四君子風月三昆富貴国香蘭菊蘭石蘭竹蘭竹争妍)を列挙する。      

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)