蘇雲卿

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そうんけい


画題

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解説

東洋画題綜覧

蘇雲卿は支那宋代の隠士で広漢の人、絽興の間、予章東湖に来り、廬を結んで独居す、礼節あつて隣人と善く、老幼となく敬慕し蘇翁と呼んだ、身長七尺、鬚髯美しく言少く曽て病まず、常に園圃を耕し四時欠かさず、其味他圃に勝るも価を増さず、夜は屨を織る、強きこと革を過ぐ、人争うて之を購ふので衣食に事を欠かず、耕耘の間には門を閉ぢて高臥するのみであつた、少時から張淩と交深かつたので、淩が相となるや書函金幣を馳せ予章の師及漕に嘱して曰ふ、余の郷へ蘇雲卿近ろ園を東湖に灌ぐと、其高風稀に見るところ、幸に親ら其の廬を造り我が為に之を致せと、師、漕、これを物色して曰く、蘇翁あるも雲卿は居らぬと、そこで次には従者を伴はず服を更め遊士となつて其圃に入つた、雲卿二人を見て何処から来たかといふ、そして室に招いたが地に塵一紙もなく唯西漢書一冊あるのみ、二人恍として自失するが如く、私に雲卿であらうと思つた、やがて泉水を汲み茗を煮て饗す、それから談は張浚のことに及び、張は同郷のものであるが今は何処にあるかと問ふ、二人は張が相となつて招聘する旨を述べ書函金幣を出し几上に置いて来由を告げた、すると雲卿はやゝ暫く考へ込み鼻の辺をヒク/\させて居たが、やがて明朝上謁せんといふ、そこで翌旦、使を派して見ると室内は閴として声なく書幣も開かず家具はそのまゝであつたが翁の姿は見えず、遂にその往く所を知らなかつたといふ、使者が復命すると、張浚は机を拊て嘆じ、そして箴を作つた。その箴に曰く

雲卿風節高於霖、予期与之共済当今、山潜水杳邈不可尋、弗力弗早予罪易鍼。

と、道釈人物の画題として極めて面白い。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)