藤戸

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ふじと


画題

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解説

(分類:武者)

東洋画題綜覧

佐々木盛網、備前の児島に平家を攻めた時、藤戸の渡で水路を案内した漁夫を殺し、おのれ一人の手柄としたのを、事治つてから、その漁夫の母の恨を受け冥福の法要を修して亡魂を成仏せしむるといふ節の謡曲の一、前シテは母、後シテ子、ワキ佐々木盛綱、トモ従者、処は備前、出所は『源平盛衰記』である。一節を引く

盛綱心に思ふやう、いや/\下郎は筋なき者にて、又もや人に語らんと思ひ、不便には存じしかども、取つて引き寄せ二刀さし、其まゝ海に沈めて帰りしが、扨ては汝が子にてありけるよな、よし/\何事も前世の事と思ひ、今は恨みを晴れ候へ、「扨のう我子を沈め給ひし、在所は取り別き何処の程にて候ふぞ、「あれに見えたる浮州の岩の、少し此方の水の深みに、死骸を深く隠ししなり、「扨は人の申ししも、少しも違はざりけり、あの辺ぞと夕波の、「夜の事にて有りし程に、人は知らじと思ひしに、「やがて隠れはなき跡を、「深く隠すと思へども、「好事門を出でず、「悪事千里を行けども、子をば忘れぬ親なるに、失はれ参らせし、子はそも何の報いぞ「実にや人の親の、心は闇にあらねども、子を思ふ道に迷ふとは、今こそ思ひしられたり。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)