藤十郎の恋

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とうじゅうろうのこい


総合


歌舞伎

戯曲、二幕。菊池寛作。大正八年(1919)初世中村雁治郎初演。 「おさん茂兵衛」の狂言で、人妻と密通する役を与えられた坂田藤十郎は、芝居茶屋宗清の女主人お梶にいつわりの恋をしかけ、役の工夫をなしとげた。初日をあけたこの狂言は大評判、その楽屋へ藤十郎とのうわさをたてられた恥しさ口惜しさを、死でむくいたお梶の死骸が運ばれるが、藤十郎は女一人の命で芸の人気は傷つけられぬと自信にみち、冷かにこれを見おろして、舞台へと去って行く。 初演は大森痴雪の脚色で上演され、近代の濡事師初世中村隔治郎が藤十郎に扮したところに興味が持たれ、また好演でもあった。