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ひし


画題

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解説

東洋画題綜覧

菱は菱科に属する水草で、『おにびし』『みすもぐさ』などの古名があり、支那にも種々の異名や雅客がある、『稜』『水栗』『沙角』『紫角』『胡連児』『菱角』『蟾蛤股』などゝいひ、『水客』の称もある、春のはじめ若葉を出し、夏葉が繁る、葉は三角形で鋭い鋸歯があり、葉柄は長く中央が膨れ水に浮くやうになつてゐる、花は白色四弁で、四本の雄蕊と一本の雌蕊がある、秋になると実が熟す、これが所謂菱形で、外の殻は黒いが、殻を破ると中は白く食用になる、支那では采菱行といつて湖上に舟を泛べてこれを採る行楽がある。

     采菱行     劉禹錫

白馬湖平秋日光、紫鱗如錦綵鴛翔、蕩舟遊女満中央、采菱不顧馬上郎、争多逐勝紛相向、時転蘭撓破軽浪、長鬣弱袂披参差、釵影釧文浮蕩漾、笑語哇咬顧晩暉、蔘花緑岸扣舷帰、帰来共到市橋歩、野蔓繁船萍満衣、家々竹楼臨広陌、下有連穡多估客、携觴薦芰夜経過、酔踏大隄相応歌、屈平祠古沅湘水、月照寒波白煙超、一曲南音此地聞、長委北望三千里。

面白い草ではあるが、此の草のみを描いた作は少い、渡辺南岳の『草花図巻』にはよく此の草を写してゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)