菅原輔正

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

すがわらの すけまさ


画題

画像(Open)


解説

前賢故実

sakBK01-0080-09_37.jpg

正五位下の淳茂の孫。從四位上在躬の子。天慶四年に秀才に及第、のち大学頭、東宮学士、文章博士を歴任。素晴らしい文辞を以て名を揚げた。円融天皇と花山天皇の侍読を務めていた。長徳二年に参議となり、まもなく式部大輔を兼任、正三位にまで栄進した。寛弘五年薨去、享年八十五歳。かつては筑紫の安楽寺へ行った時に、多宝塔を創立して、中に仏像や仏教の経典を安置させ、東塔と名付けた。また、輔正が撰定した三巻の寺務法規は、各寺院に収蔵されていた。後世の人が道真の祠の側に、輔正を祀る北野宰相殿を建立した。元暦元年に正二位を贈られた。

一昨日、藤亜相於東山別業時、開尚歯会、七叟之外、儒士故人、預参宴筵、共述風情、各言春楽。予有由故、独不追従、恨心難抑、欲罷不能、偷綴荒詞呈前。茂才。(一昨日、藤原在衡大納言が東山の別荘で尚歯会を開き、七叟のほかに儒学者や旧友らが、揃って宴に参加して、互いに風情を述べ、春の楽しみについて話していた。わたくしは故があって参加できなかった。残念に思う気持ちを抑えきれず、止められなくてひそかに粗雑な詞を綴り、皆に贈る。秀才。)

風聞尚歯宴重成(尚歯会が盛大に開かれたと聞き) 独後春遊有恨情(一人で春の遊びに遅れて残念に思っている) 西漢楽天寒浪外(銀河の楽土が冷たい浪の向こうにあり) 東山勝地暮雲程(東山の勝地が暮雲が流れ着くところにある) 嵐行不醉消憂酒(山から清らかな風が吹いてきて、憂いを忘れる酒に酔わない) 霞歩無逢喚客鶯(霞がたなびく中で、客を呼ぶ鶯に出逢えなかった) 忘老落花心底色(老いを忘れた落花は真心をこもっている) 助歌流水夢間声(歌に合わせる流水は夢の中の声に聞こえる) 詞華吏部塵相累(文才を以て式部での職務をこなし、官途に付いた汚れが溜っている) 句麗和州玉自瑩(麗しい詩句を以て国中に名を揚げ、玉であれば自ずから透通って光る) 七叟交中思二老(七叟と付合いながら、大江音人と菅原是善のことを追憶し) 古今猶顕我家名(我が家名が古今に知れ渡ることに感慨を覚えた)

(『前賢故実』)