草薙

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くさなぎ


画題

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解説

東洋画題綜覧

能の曲名、恵心僧都が尾張国熱田の宮に参籠して最勝王経を講じ花売の男女に逢ひ、これが日本武尊と立花姫の霊で、草薙の神剣の物語を聞くといふ筋、前シテが花売男、ツレが花売女、ワキは恵心僧都、処は尾張である。その一節

頃は神無月十日余りの事なれば、冬野の景の面白さに、何心なく打ち出でたりしに、夷四方の囲みをなし、枯野の草に火をかくれば、「余焔頻りに燃え来り、遁れ出づべき方もなく、敵攻め鼓を打ち懸けて火焔を放してかゝりけるに、「尊剣を抜いて、敵を払ひ忽ちに、焔も去り退けと、四方の草を薙ぎ払へば剣の精霊嵐となつて、煙も草も吹きかへされて、天にむらがり地にうづまいて、夷の陣に吹き曠がつて猛火はかへつて敵を焼けば、数万の夷ども、皆焼け死にて其跡の、熾は積つて山の如し、それより名付けつゝ、ここを興津と夕汐の、御剣も治まり尊もつつがましまさず、世を治め給ひし、草薙の剣は是なり。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)