職人尽

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しょくにんづくし


画題

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解説

画題辞典

職人尽はその当時に於ける職人を網羅せるものにして、主として歌合などに描かるゝ絵なり、

住吉行廣筆鎌倉職人尽三十二番、土佐光信筆職人尽七十一番、筆者不明勧進職人歌合十七番などあり、武蔵喜多院所蔵職人尽二十四枚は国宝なり。絵には吉信の款印あり慶長時代の世相風俗の活写ともいうべきものなり、又帝室博物館の所蔵に鍬形蕙齊筆の近世職人尽絵巻三巻あり、文化二年の作にて江戸盛期の風俗を見るべき好資料なり、筆致軽妙、詞書は太田南畝、山東京伝、平秩平作にて亦画と相並んで珍とすべし。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

職人尽はその時代々々の職人風俗又はこれに歌合として歌を加ヘ画いたもので、種々ある、中でも京都曼殊院の『東北院職人尽歌合』最も古く、鎌倉時代の作といはれ、更に足利時代には『鶴岡放生会職人尽歌合』『七十番職人歌合』などあるが、多くは歌仙風に描いたもの、職人の各々の職業にいそしむところを画いたものでは川越喜多院国宝『職人尽絵屏風』を挙げなければならない、これは屏風一双二十四図の中に二十五の職人を収めてゐる、即ち

仏師、傘師、革師、鎧師、経師、糸師、形置師、筆師、扇師、桧物師、研師、弓師、珠数師、鍛冶師、機織師、刀師、矢作師、蒔絵師、向縢縢師、番匠師、畳師、桶師、縫箔師、染物師、稿細工師

で歌仙式でなく、その店、屋内の模様に到るまで精細に画かれてゐる、筆者は狩野吉信といふ、近くは帝室博物館に鍬形蕙斎筆『近世職人尽絵巻』三巻あつて文化二年の作、これは軽妙なる筆致を以て、徳川末期の風俗をよく描いてゐる、詞書は太田南畝、山東京伝、平秩東作である。此の外、菱川師宣筆『諸国諸職絵尽』があり、また当寺の職人風俗を精細に描いてゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)