紙衣

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紙衣(紙子) かみこ

紙衣(かみころも)の略。紙で作った粗末な衣服。製法は厚紙に蒟蒻糊を塗り、その上に柿渋を加えて晒した後これを揉んで軟らげ、一夜露宿し、渋の臭気が去ってから衣服に仕立てるのである。江戸時代に入って天和、貞享のころ、大いに流行し野郎も遊女も着用したことが『滑稽雑談』に見えているから、江戸時代に大いに流行したことが推察される。 古い文がらをはぎ合わせたものという意味があり、歌舞伎では黒縮緬に金銀色糸で、いろは仮名や恋文を刺繍したものを着物の肩や袖口、裾などに縫い合わせて仕立て、落ちぶれたさまを美しく表わす。 歌舞伎では、男で「吉田屋」伊左衛門、女で八重桐はこの着付けと決まっている。


参考文献:河鰭実英『日本服飾史辞典』(東京堂出版 昭和44年4月25日)、鳥越文蔵『歌舞伎オン・ステージ12 傾城反魂香 嫗山姥 国姓爺合戦 平家女護島 信州川中島合戦』(白水社 1989年8月31日)、山本二郎・戸坂康二・利倉幸一・河竹登志夫・郡司正勝『名作歌舞伎全集 第1巻 近松門左衛門集』(東京創元新社 昭和44年10月15日)、服部幸雄・富田鉄之助・廣末保『歌舞伎事典』(平凡社 2011年3月)