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みそぎ


画題

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解説

画題辞典

身に附ける凶穢を滌ぎて、吉祥を求むるの意にして、神代に伊弉諾尊が黄泉国の穢れを筑紫の橘の水門にて祓ひたるを濫觴とすべし、平安朝巳来一の朝廷の儀式となり.凶事の後、或に神事を行ふに先ち、必ず行はること例とす、祓楔、殆ど区別なきが、禊は必ず河海に臨みて行はるゝものにて、多く加茂川にて行はる、大嘗會の時には天皇板輿に召して御楔の幄に移らせ玉ひ、神祗官之を奉ずとなり、緒方光琳に禊の図あり一は馬越恭平氏の蔵にして一は佐竹侯爵の旧蔵にあり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

禊は身滌ぐの約、伊弉諾尊、黄泉の穢れを除き棄てむとて、大御身を川水に潜き滌ぎ給ひしに起るといふ、多くは三月三日に行ふ、水辺に出て水を身に滌いで清祓するのであるが、後には人の形を水に流すことにもなつた。

弥生ついたちに出で来たる巳の日、けふなんかく思すことある人は、みそぎし給ふべきとなまざかしき人の聞ゆれば、海面もゆかしく出で給ふ、いと疎略〈をろそか〉に軟障ばかりを引き廻らして、この国に通ひける陰陽師召してはらへせさせ給ふ、船にこと/゙\しき人形〈がた〉載せて流すを見給ふにもよそへられて

しらざりし大海のはらに流れきてひとかたにやはものは悲しき  (源氏物語須磨)

御禊を絵にしたものでは、尾形光琳に名作がある。一は佐竹侯旧蔵、一は馬越氏の蔵である。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)