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画題

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解説

画題辞典

謡曲にして源氏物の一なり。源氏物語空蝉巻に空蝉と其継子軒端ノ萩と碁打ちの遊びをする記事あるを採れるものなり。東国の旅僧京に上り三条京極中川の旧跡を訪い、源氏物語なぞ思出し「うつ蝉の身にかへてける木のもとになほ人がらのなつかしきかな」と、光源氏の空蝉に贈りし歌を口吟みけるに、空蝉の霊現われ、わが家に招じ、次いで軒端の萩の霊現われ、共に昔の如く碁をうちて旅僧に見することを仕組みしものなり。処は京都、季は八月なり。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

謡曲の名、源氏物の一である、『源氏物語』空蝉の巻に、伊予之介の妻で光源氏と人目を忍ぶ仲となつた空蝉が、三条京極中川の家で軒端の萩といふ女と碁を囲んでゐる処を偶々源氏が垣間見て軒端の萩を知るといふ一節を骨子とし、東国の僧が都上りして此の中川の旧跡を訪ひ、『うつ蝉の身にかへてける木のもとになほ人がらのなつかしきかな』と源氏の空蝉に詠んで送つたのもこのあたりと、源氏を口ずさんでゐると、空蝉の霊が現はれ、わが家に招じ、やがてまた軒端の萩の霊も現はれて物語のやうに碁を囲んで見せるといふ筋で、シテは空蝉、ツレが軒端萩、ワキが僧である、その一節を引く。

「それ碁は定恵の二手を見せ、うつ音にあうんのひゞきあり、されば目の前に生死の命期をあらはしては、則ち涅槃のかたちを見す、「石の白黒は夜昼の色、「星目は九曜たり、目を三百六十目に割る事は、是れ一年の日の数なり、碁は敵手にあうて手だてをかくさず、わづかに両三目に従来十九の道有り、ある時は四面をかこまれ、一声をもとめ、ある時は敵を攻めいとせめられ、恋しき時はうば玉の夜の衣をかへしてもねばまやすらむ波枕、浮木の亀のおのづから、一目劫なりと立てゞいかゞ有るべき、されば生死の二つの河を渡りての中に白道をあらはし、黒石はよしなや、今うつ五障三従の、女の身には遁れえぬ、業ふかき石だて、心していざや打たうよ。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)