矢橋

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やばせ


画題

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解説

東洋画題綜覧

琵琶湖の一名勝、矢橋帰帆は近江八景の一で栗太郡老上村にある、万葉集には八橋に作つてゐる。

淡海のや八橋のしぬを矢はかすてまことあり得むやこひしきものを  (万葉集)

矢橋には船に関する伝説が存してゐる。

世に伝ふる月夜舟物語と云者は八橋の事なり、其大意、昔湖に舟なくして渡海なかりしに志賀の辺りに月といふ遊女ありけるが、夢のうちなる枕をかはして睦びける男、ある夜涙をながして云ふやう、今は何をかつゝまん、我は山田に年経たる楠の大木なるが、其木を切て舟に造り湖水の通ひにせんと、所の守より既にあす切べしと定まりぬ、然れども其舟千万人よりてもいかでうごくべき、御身向ふに立て扇にてさしまねかば、忽ち舟はしるべし云々、此物語は三井寺の謡に「山田矢橋の渡し舟、夜はかよふ人なくとも、月のさそはゞ自ら舟もながれ出らん」と云詞に付ても戯作とは見えぬ。  (名所図会)

矢橋の帰帆は近江八景の一として画かるゝもの多く、この伝説また好個の画材である。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)