睡蓮

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すいれん


画題

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解説

東洋画題綜覧

睡蓮は睡蓮科に属する水草で、目下盛に栽培されつゝあるものは印度又は埃及の原産で、葉は円形若しくは楕円形で少しく尖つたものがあり、基部は深く裂けて箭形をなしゐる花は多数の花弁と四片の萼と雄蕊雌蕊から成つてゐるが、雄蕊は花弁に変化してしまつてゐるものも多い、色彩は印度及埃及産は紅、濃紅、紫、白などいろ/\あり、日本産は白花で花弁も小さく直径二寸位である、熱帯産の睡蓮には咲く時間にも差があり面白く、日本産の睡蓮は、『ひつじぐさ』の異名のある通り、未の刻に咲出すからで、支那では午時蓮と呼ぶ、日本の未の刻は、丁度支那では午の刻に当るから斯く名附けられたもので、其美しさは熱帯産のものに若かぬが可憐な情緒深い処は却つて外国産に譲らない、唯、熱帯産のものには夜開があつて、花仏底の夏の宵に可憐な姿を呈してゐる、又此の睡蓮には可憐な伝説があつて、此の伝説により学名をウオーターニンフと呼んでゐる、水の女神に三人の姉妹があつて、それ/゙\の持場々々を守つたのであるが、ウオーターニンフとなつたメイヤデスは、そのまゝ泉の守りとなつて美しい睡蓮に咲き出でたといふのである。

睡蓮を画いた作は現代の人々に殊に多い。

荒木十畝筆  『寂光』  第十四回帝展出品

岡田壷中筆        第一回帝展出品

川端竜子筆        第九回青竜社出品

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)