直幹申文絵詞

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

なおもともうしぶみえことば


画題

画像(Open)


解説

東洋画題綜覧

絵巻物の名、一名橘直幹草紙といふ、直幹は天暦の頃の文章博士で、曽て民部大輔の職を望み申文を書き、これを小野道風に清書せしめ帝に上つた、此の絵詞は此の顛末を描いたものであり、此の事実は載せて十訓抄にある。

橘直幹が民部大輔を望申ける申文をば自書て小野道風に清書せさせけり、上御覧ぜられけるに、依人而事異、雖以偏頗代天而授官、誠懸運命など述懐の詞を書すぐせるによつて、御気色あしかりけり、人是を恐思処に、そののち内裏焼亡、俄中院へ幸せさせ給ひたるに代々の御渡物、倚子、時の簡、立象、鈴鹿以下もてまいりたり、御覧じて直幹申文は取出でたりやと御尋ねありければ、時の人いみじき事にぞ申ける。

画の筆者は土佐光顕と云ひ、詞書は慶運法師といふ、酒井忠興伯所蔵である。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)