白女

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しろめ


画題

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解説

前賢故実

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遊女。亭子院上皇が春の時に鳥養院に臨光した際、たくさんの遊女が来ていた。その中に、丹後守の大江玉淵の娘で白女と名乗る者がいて、非常に美しい容姿を持ち、詠歌に優れていた。上皇が白女を呼寄せて戯れに「汝が玉淵の娘というが、信じがたいことだ。玉淵が詩歌の嗜好があると朕は聞いている。ここで汝が鳥養の二字を以て速やかに歌を詠んでくれたら、汝のいうことを信じ上げよう。」と言った。白女はすぐに歌を詠んだ。

ふかみどり かひある春に あふ時は かすみならねど たちのぼりけり

上皇が白女の歌に感心した。

(『前賢故実』)

東洋画題綜覧

摂津国江口の遊女、歌をよくし亭子院(宇多天皇)より御衣を賜ふこと『大和物語』にあり、又、『命だに』の一首は『古今集』に収められてゐる。

亭子の帝、鳥飼の院におはしましにけり、例のごと御遊びあり、この辺に遊女ども数多参り候ふ中に「声面白く、よしある者は侍りや」と問はせ給ふに、遊女ばらの申すやう、「大江玉淵が女といふ者なむ珍らしう参りて侍る、」と申しければ、見させたまふに、さまかたちも清げなりければ、あはれがり給ひて、うへに召し上げ給ふ、「そもそも実か」など間はせ給ふに、鳥飼といふ題を人々に詠ませ給ひにけり、仰せ給ふやう、「玉淵はいと労ありて、歌などよくよみき、この鳥飼といふ題を、よく仕うまつりたらむにしたがひて、実の子とは思ほさむ」と仰せ給ひけり、承りて、すなはち

浅みどりかひある春に逢ひぬれば霞ならねど立ちのぼりけり

と詠む、時に帝のゝしり哀がり給ひて、御しほたれ給ふ、人々も、よく酔ひたる程にて、酔泣いと二なくす、帝御袿一襲袴賜ふ。  (大和物語)

これを画いたものに谷口香嶠筆『白女賜御衣』(歴史風俗図譜所載)がある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)