煙管入れ

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総合

 たばこを入れる容器。キセルを納める細長い筒状の部分と、刻み煙草をいれる袋が対になっているものが多い。湿気を帯びないように羅紗、革類、油製紙などが用いて作られる。懐中用と腰下げ用がある。腰下げ用は紐の先に根付が付いており、帯に引っ掛けるとそれが留め具となり使用することができる。

 担当作品中で重兵衛の手に見えているものは、この煙草入れの根付部分であると思われる。物語の後半で重要な鍵を握る印籠にも根付は付いているが、担当作品は沼津の段の冒頭の部分で平作が重兵衛に頼んで荷物を持たせてもらっている場面を描いている。平作が怪我をして重兵衛が印籠に入った薬で治してやるシーンもあるが、平作がまだ荷物を担いでいるところから根付が印籠のものであることは低いと考える。

 また、重兵衛がもう片方の手に煙が出ているキセルを持っていること、呉服屋重兵衛を描いたほかの浮世絵に煙草入れが描かれていることからも、作品中に描かれた根付は煙草入れのものであると考える。


提げ煙草入両口
提げ煙草入
国周 見立絵手本 呉服屋重兵衛
豊国〈3〉 呉服屋重兵衛


(『近世日本風俗事典』日本図書センター、2012年1月、金森敦子『江戸庶民の旅 旅のかたち・関所と女』平凡社、2002年7月)