滋野貞主

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

しげのの さだぬし


画題

画像(Open)


解説

前賢故実

sakBK01-0080-06_15.jpg

参議、正四位下、宮内卿。文学の才があると知られている。はじめは文章生であったが、上表して太宰府の長官がその官職に適していなくて、管轄下の弊害が多くて日に増していると徹底的に論じたことがあり、時の賢人たちに讃えられていた。後に東宮学士になり、経国集十巻、秘府略千巻などの編輯に加わり献上した。仁寿二年卒、享年六十八歳。貞主は上品で度量もあり、孤高な一面もあるが、生まれつき情け深い性格なので、人と接する際に相手を傷つけないようにしていた。官吏を選ぶとき、優秀な人材を推挙し、その能力に応じて選抜を決めていた。貞主が亡くなったとき、貞主の知人および面識のない人まで、みなが貞主の死を痛惜して涙を流していた。

春夜宿鴻臚(春の夜に鴻臚に宿する) 簡渤海入朝王大使一首(渤海より来朝した王大使に贈る一首)

枕上宮鐘伝暁漏(水時計の代わりに宮殿の鐘の音が暁の時刻を枕元に伝わり) 雲間帰雁送春声(雲の間から帰っていく雁の春を送る声が聞こえてくる) 辞家里許不勝感(家を離れて数里ばかりでも感慨深くなるのに) 況復他郷客子情(まして異郷を訪れている客人の心境はなおさらのことだ)

(『前賢故実』)