源氏香

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げんじこう


本来組み香の名の一つであるが、その弁別を図化した、「源氏香の図」そのものをさす略称として用いることが多い。この組み香は後水尾天皇の頃の考案にかかり、五種の香を各五包ずつ計二十五包作り、任意五包ずつ組み合わせてたき、この催しに参加した人たちが嗅ぎ分けて異同を五本の線で示す。その示された図形が源氏香の図である。五本の組み合わせによりできる五十二種の図を『源氏物語』五十四帖の各巻に配当して各図形の名称とする。

『源氏物語』取材の絵、『偐紫田舎源氏』による源氏絵で描かれた各巻を象徴する図案にはなはだよく用いられ、また衣裳の模様、調度のデザインなどにもしばしば応用されて適用範囲が広い。巻名を記さず暗示する方途にも使われる場合もある。

源氏香の図

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引用:鈴木重三執筆「原色浮世絵大百科事典 第四巻 画題-説話・伝説・戯曲」(銀河社1981.11)

C001.jpg  絵師: 豊国〈3〉「夜商内六夏撰 麦湯」

この模様は江戸期の人々に喜ばれたが、幕末には合巻「偐紫田舎源氏」の爆発的人気も相俟ってなお一層流行した。

偐紫田舎源氏

柳亭種彦作・歌川国貞画の大長編合巻。全三十八編。文政十二年(一八二九年)から天保十三年(一八四二年)にかけて刊行。略称「田舎源氏」。『源氏物語』の草双紙式翻案作、「偐紫」は似せ、あるいは偽紫式部、「田舎」は卑俗、まがい物の源氏物語を意味する。

時代を「東山の世界」つまり足利将軍の室町期におき、足利義正を桐壺帝に、花桐を桐壺更衣に、二人の間にもうけられた足利次郎光氏を光源氏に擬えている。

種彦の趣向の巧みさと国貞の工夫を凝らした挿絵で東都に源氏ブームを巻き起こした。編を重ねるうちに錦絵に仕立てられ、絵馬・羽子板・団扇絵・扇子へと多様な物に描かれ、果ては衣服調度類にまで及んだ。


Inaka.jpg 引用:鈴木重三校注、「新日本古典文学大系88 偐紫田舎源氏」、岩波書店、1995年2月 初編見返上冊下冊より

源氏物語に因んで、源氏歌カルタの絵札を模したデザイン。


鈴木重三執筆、「原色浮世絵大百科事典 第四巻 画題-説話・伝説・戯曲」、銀河社、1981年11月

鈴木重三校注、「新日本古典文学大系88 偐紫田舎源氏」、岩波書店、1995年2月げんじこう


画題

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解説

東洋画題綜覧

組香の一つで、中古十組の一式である、香五種を一種五包づゝ通計二十五包を打混じ、その中五包を取つて焚き二十包は炷かずに置く、扨て開いた香五包を名乗紙の上に印すのであるがこれは、若し同種なく異種のみである場合は縦の五線であるが同種の時は、これを繋ぐに横線を以てする、即ち同様のものばかりで異種のない場合、五条の縦の線の時は「箒木」であり、全部同種の時は五本の縦線の上に横に一線を打つて全部を繋ぐ、これが「手習」である、一と二のみ同種の時は一と二の上に横線を以て繋ぎ、他の三種は縦横三条となるこれが「空蝉」で、一と四が同じ時は先づ上に此の二種を繋ぎ二三五の三種亦同じ時は上線の下に此の三種を横線で繋ぐ、これが「須磨」である、かくて、「桐壷」と「夢の浮橋」(夢浮橋)に図なく、他の五十二を図したものが、世にいふ源氏香で、模様としても面白く、よく行はる。  ―図参照―

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)