清水寺縁起

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きよみずでらえんぎ


画題

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解説

東洋画題綜覧

音羽山清水寺の縁起を画いたもので、前後三巻あり、画は土佐光信筆、詞書は上巻は近衛尚通公、中御門宣胤卿、中巻は三条実香公と甘露寺之長卿、下巻は三条西実隆卿と伝へらる、上下二巻は延鎮法師と田村麿の関係、寺の草創、下巻には霊験の数々を描いてゐる。上巻の鹿の奇瑞、山崩れの一節を引く。

将監都に帰り、蘭室命婦高子、以今日の遊猟の二事、また霊水之体沙門の所語彼是の妙儀をかたり給へり、命婦のいはく聞所の事みな権化の所談なり、然に我除病のために殺生のこと其恐怖あり、其報何をもてか謝せんや、願くは以我宅彼聖跡にせよ女身が罪潜を懺悔せん、然則将監賢心とこゝろざしをひとつにして仏閣造立をきいていはれけるに、山深くして峻岨樹木の陰寸尺も平地なし、人力難及愁歎せしむる処に夜中ものゝ声山中にみてり、きしをこぼち谷を埋めるかとおぼゆ、明朝これをみれば地平如掌にして仏場をさかへるごとし、其所にものあり鹿胎中の子なりけり、知ぬ鹿、鹿にあらず、是薩埵の使たらん、然ば彼鹿の頭をとゞめ蔵庫におさめて、いまに霊物とす。  (上巻)

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)