海女
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あま
画題
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解説
東洋画題綜覧
海人、白水郎、泉郎、蜑、などとも書く、あま人、あまうど、海で漁りし又は藻塩焼などの業をするものを総称したが、後には専ら女の海中に入つて鰒を取るを業とするものゝ称呼となつた。古く万葉集には、
潮みたばいかにせむかとわたつみの神が手わたる海末通女ども 作者未詳
これやこの名に負ふ鳴門の渦潮に玉藻刈るてふ海人少女ども 田辺秋庭
などの歌があり、『海女』の姿に就いては『ありのまゝ』に次の如く記してゐる。
西国海人多し、女のみなり、生涯眉を落さず、紅粉を傅けず、髪に油をつけず、歯を染めず、海中に入り鮑をとる、男子の著る下帯ごときものを用ひて腰に長さ七寸ばかりの鉄にてつくれる弓の形のごとくなるものゝ中程に穴ありて其側に八大竜王と彫りたる物を用ふ、是れは鮑の海底の石に付きたるを放つものなり、八大竜王と彫るは悪魚を避くる為といへり、海中に入り呼吸二百息ばかりの間にして浮み出でヒヤウと一声を発す、此の声遠く聞ゆ、かねて腰に大なる長さ四尺ばかりの縄を巻きて入る、此間に鮑を夾みて浮むなり。
と記してゐる、此の海女の鮑取りは、浮世絵の好画題として画かるる所少くない。喜多川歌麿、鳥居清広、石川秀葩等には数多の作があり、殊に歌麿に名作が多い。
なほ海女を主題としたものに近く左の作がある。
土田麦僊筆 『海女』 第七回文展出品
伊東深水筆 『海女躍る』 第十三回帝展出品
杉山寧筆 『海女』 第十五回帝展出品
板倉星光筆 『志摩の女』 第一回新文展出品
三輪晁勢筆 『海女』 同
高木勇筆 『潮風』 同
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)