波題目

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なみだいもく


画題

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解説

画題辞典

日蓮聖人三大法難の一なり、文永八年十月、日蓮佐渡流謫と定まり、役人附添二十七日越後国寺尾泊を出帆してその日は角田に泊し、翌日海上穏かなるまゝに、更に此地を発して佐渡に向ひしに、海上に於て一天俄に曇り、烈風吹起りて荒浪高く、見るまに船は打碎かれんばかりになりたり、乗合の人々生きたる心地もなかりしを、日蓮見て此船には日本第一の法華経の行者日蓮同船あり、今法華経の利益を以て八大龍王を済度得脱させ、海を静めて人々を救はんと従容として般の舳に立ち高らかに題目を唱へ、筆執りて海面に南無妙法蓮華経と認めしに、不思議や波の内に光を発して現然その文字表はれ、忽ちにして波も静まりぬとなり、之を波題日と称す、亦屡々画かるゝ所となす。尚ほ日蓮聖人の条参照すべし。

(『画題辞典』斎藤隆三)

東洋画題綜覧

日蓮上人が佐渡に流さるゝ時、途中大暴風雨にあひ、珠数を以て波に南無妙法蓮華経の題目を現はしたといふ伝説。

にちれん「日蓮」の項を見よ。(日蓮上人

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)


日蓮が佐渡へ配流の途中の奇跡、真偽は兎も角、有名な物語となつてゐる。

日蓮依智になる事数月、幕議日蓮を佐渡に配流に決し、文永八年十月十日警固の士率に護られて佐渡に向ふ、其の越後寺泊に到るや『寺泊御書』『岩の題目』等の奇跡を留め、敷日にして錨を抜きしも激浪連りに到りて船将に覆没せんとす、日蓮船頭に自我偈を誦ずるに風波は忽ち静まる、日蓮乃ち水掉もて海面に題目を大書す、字劃竜蛇の如く波に揺られて滅せず、世之を『波題目』と云ふ。

一勇斎国芳にその作がある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)