江戸時代の食文化

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総合

江戸時代と言っても階層によって食生活の内容に隔たりがある。肉類も一般に食されていた。四足獣を含む肉食は、中世を通じて徐々に否定され、戦国期には魚を主として動物タンパク質を摂っていた。 江戸時代初期に成立した『料理物語』には料理法のうち「獣の部」という章があり、犬や猪や鹿などの料理の仕方が記されている。しかし、成立年がはっきりしている近世の料理書は他にも200点ほど確認されているが、犬などの獣の調理法を記したものはないようだ。 15、6世紀に日本にやって来たルイス・フロイスなどの外国人による、日本人の食生活に関する記録が残っているが、彼らと接触したのは比較的身分の高い者であって、中・下層の食生活の実態については不明な部分が多い。おそらく中・下層にとっては獣肉食はより一般的であったと思われる。地方では諏訪社が肉食の免罪符として鹿食免(しかじきめん)を認めていた。

猪、兎、狐、狸、猿、犬なども食され、四谷に獣市が開かれていたという記録もある。


【考察】

シカの肉は中・下層によって食されていたようだが、肉食に驚いたというより、臀部を食すということが珍しかったのではないだろうか。都会に住む人がこの絵を見ていたのならなおさらである。

もちろん、ここに描かれていたのが人肉であったならば、見る人にさらに衝撃を与えたかもしれない。


<参考文献>

『江戸の食文化』吉川弘文館 1992年(参考箇所は原田信夫氏執筆部分)

『日本今昔飲食考』塩谷寿助 金園社 1969年