水江浦島子

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みずのえの うらのしまのこ


画題

画像(Open)


解説

前賢故実

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丹波余社郡(後の丹後余社郡)管川村の人。雄略天皇二十二年七月、浦島子は海で大きな亀を釣った。亀は美女に変身し、これを悦ぶ浦島子と夫婦になった。ついに二人は一緒に海に入り、蓬莱というところへ行った。仙家の極楽を何から何まで体験したとはいえ、次第に故郷のことを恋しく思うようになった。女は浦島子の気持ちをわかっているので、抑留しなかった。別れるときに、女は堅く封緘された玉の匣を浦島子に贈った。さらに、女は浦島子に「もしわたくしに再会したいのならば、決して匣を開けてはいけない。」と再三注意した。浦島子は船に乗ると、忽ち澄江の浦に着いた。故郷を訪れたが、村が変り果てて、知ってる人がいなかった。あてもなく歩き回っている内に、浦島子は服を洗濯している老婆に出会い、故郷が変わった理由について老婆に聞いてみた。老婆は「知らない。わたしは一百七歳だ。代々相伝してきた古老の話によると、昔、この地にいる浦島子が海へ釣をしに行ったが、船に乗り込んだまま帰ってこなかったという。」と話した。これを聞いた浦島子は、ぼうっとして何をしたらよいかわからなくなり、玉の匣を開けることにした。すると、匣から紫色の雲が出てきて、俄に浦島子の顔が衰え老翁になってしまった。浦島子は終日恍惚の状態に陥った。後に、浦島子は身体を錬り、心を休め、山の奥に棲むようになったが、その最後がどうなったかわからない。

大江朝望

うらしまの 心にかなふ つまをえて かめのよはひを ともにぞへける

(『前賢故実』)