楽昌公主

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がくしょうこうしゅ


画題

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解説

東洋画題綜覧

楽昌公主は陳代の美人で、破鏡の故事の起りとなる。出処は『五朝小説唐本事詩』である。

楽昌公主は陳太子舎人徐徳言の妻で、後主叔宝の妹、楽昌公主に封ぜらる、才色冠絶、時に陳の政乱れ、その保ち難きを知り、徳言其妻に謂て曰く、君の方容を以てすれば、国亡ぶるも必らず権豪の家に入らん、斯くて永く絶つも、儻し情縁未だ断たざれば、他日必らず二月望日を以て逢はんと、鏡を割つて与ふ、陳亡ぶるに及び、其妻果して越公楊素の家に入り、鏡を市に売り、寵嬖殊に厚し、徳言流離辛苦し、漸く能く京に至る、遂に正月望日を以てその都を訪ふ、蒼頭半鏡を売る者あり、其値大に高く、人皆之を笑ふ、徳言直ちに其店に至り、食を設けて具さに其故を言ひ、半鏡を出して以て之に合せ、仍ち詩を題して曰く

鏡与人倶去、鏡帰人不帰、無復嫦娥影、空留明日輝。

陳氏詩を得て涕泣して食せず、素これを知り愴然として容を改め即ち徳言を召して其妻を還し、仍て厚く之を遣す、聞くもの感歎せざるなし、仍ち徳言と陳氏と偕に飲み陳氏をして詩をなさしめて曰く

今日何遺次、新官対旧官、笑啼倶不敢、方験作人難。

遂に徳言とともに江南に帰り以て老を終る、

此の物語時に日本風に画かるゝものもある。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)