東海道四谷怪談
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とうかいどうよつやかいだん
総合
歌舞伎
文政八年(1825年)七月二十七日、江戸中村座初演。四世鶴屋南北作の怪談狂言の代表作。 夫伊右衛門の非道と、伊藤家の計略によって、醜い顔にされた上、悶死したお岩の亡霊が、伊右衛門や伊藤家の係累を悩まし、ついに敵をとるというのが大筋。中でも浪人の貧窮の様をみせた「伊右衛門浪宅」、小平・お岩と早替りを戸板返しでみせる「隠亡堀」、下層の淫売宿の描写にすぐれた「三角屋敷」、お岩の亡霊の出没する「蛇山庵室」等が面白い。 三世尾上菊五郎以来、尾上家の芸として、五世菊五郎、六世尾上梅幸が得意とした。 【題材となった巷説】
- 元禄の頃、四谷左門町に住んでいたお先手組同心・田宮又左衛門の娘お岩が、嫉妬の果てに命を落とし、その怨霊が夫や一族にたたりを及ぼした。
- 旗本の妾と中間が密通し、戸板の裏表に釘付けされて、神田川に流された。
- 隠亡堀で、うなぎかきが、抱き合い心中の男女の死骸を引き上げた。
- 享保年間に、直助と権兵衛という二人の下男が、主殺しの罪で、同じ年、同じ月、同じ日に鈴ヶ森の刑場で処刑された。
またこの作品には数々の自信の先行作品の趣向を取り入れているといわれている。以下に例を挙げておく。
- 「彩入御伽草子」いろえいりおとぎそうし
- 「阿国御前化粧鏡」おくにごぜんけしょうのすがたみ
- 「法懸松田利劔」けさかけまつなりたのけん
(「慙紅葉汗顔見勢」はじもみじあせのかおみせ)
- 「謎帯一寸徳兵衛」なぞのおびちょっととくべい
- [役割番付(1835四国金毘羅)]
- 『鶴屋南北全集 第十一巻』 藤尾真一編 1972年 三一書房