文殊三三

提供: ArtWiki
ナビゲーションに移動 検索に移動

もんじゅさんさん


画題

画像(Open)


解説

画題辞典

杭州無着文喜禪師、初め大慈山の性宣暉師謁す、宣日く子何ぞ偏参ぜざるや、師直に五台山の華厳寺に往き金剛窟に生り禮謁す、一人の老翁牛を牽きて行くに遇ふ、師を迎へて寺に入る、翁均提と呼べば童子あり出で迎ふ、翁牛を放ち師を引いて堂に登る、堂宇皆金色なり、翁床に踞し繍☆を指し命して坐せしむ、翁曰く何れより來る、師曰く南よりす、翁曰く南方の佛法如何、師曰く末法の比丘戒律を奉するもの稀れなり、翁曰く多少の衆ぞ、師口く或日三百或日五百、師却つて問ふ、此間の佛法如何、翁曰く前三三後三三、分童子を呼んで茶を薦めしむ、並に酥酪を進む、師その味を口にし心意豁然たり、翁、玻璃盞を拈起して問うて曰く南方に如此ものありや、師曰くなし、翁曰く尋常何を以て茶を喫するや、師對へず、師日色の晩れたるを観て遂に翁に問ふ、一宿を投ぜんと欲す、得べきや、翁曰く汝若し執心なくんば何ぞ受戒を用ゐん、師辞して退く、翁童子をして送らしむ、師童子に問ふ、前三三後三三と是れ多少ぞ、童、大徳と呼ぶ、師應諾す、童曰く、是れ多少ぞ、師又問ふ此處は何の處ぞ、童曰く最れ金剛窟の般若寺なり、師凄然として悟る、彼の翁即ち文殊なり、再び見るべからず、即ち童子に稽首し願くは乞ふ一言別れを為せと、童偈を説いて曰く面上無瞋供養具、口裏無瞋吐妙香、心裏無瞋是珍寶、無垢無染是真常、言終つて均提寺と倶に隠る、唯五色の雲中に文殊の金色の獅子に乗つて往来するを見るのみ、忽ちにして白雲東より來り覆うて見えずなりぬ、文殊金毛の獅子に乗るの図即ち之を画くものなり。

(『画題辞典』斎藤隆三)