捕鳥部万

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ととりべの よろず


画題

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解説

前賢故実

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物部守屋の臣。難波にいる萬は、主君の守屋が討たれたのを聞いて、馬に乗り一人で河内へ逃亡した。蘇我馬子が兵を遣わして捜したが、竹藪に深く潜んでいる萬は、矢を射たりして拒んだ。馬子の兵士は、萬の待伏せを恐れて前進できず、たくさんの矢を一斉に射った。萬は、雨のように飛んできた矢を刀を振り払い、叫びながら抵抗した。萬は、三十余人の兵士を殺して、彼らの弓を三つに切り、刀を曲げて河に投げ込んだ。そして刀を使って自刃した。後に、萬が飼っていた白犬は、萬の頭を咥えて有真名に至り、古い墓を掘って萬の頭を埋めた。そして、墓のそばに臥したままで死んだ。

(『前賢故実』)

東洋画題綜覧

物部守屋の臣、蘇我馬子、守屋を攻めた時、万は兵一百の将として難波の宅を守つた、守屋死すると聞き、夜に乗じて潜かに逃れ、茅渟有真香邑に抵り其の妻と訣れ、遂に山中に匿る、朝廷万を以て逆心を懐くものとし兵数百を遣してこれを囲む、万、竹薮の中に匿れ、縄を竹に繋いで揺り、その所在を惑はしめ射て数人を仆した、兵、恐れて近寄らず、万、隙を見て遁るゝや、兵、頻にこれを射たが中らず、一人疾駆して河上に伏し射ると万の膝に中つた、万はその矢を抜きながら、万は天皇の御楯となり、その勇を効はさんとするもの、その故を問はずして攻むるは何故ぞと、先づその罪を問はんとしたが、追兵急なので止むなく近づくところの三十人を射仆し、弓剣を河に投じ自ら小刀を以てその首を刺した、河内の国司、その状を奏す、朝廷符を下し、斬つて八段とし、八国に分陳せしめた、その斬るに臨み、俄かに雷鳴轟きわたり大雨が降つた、万に愛犬一頭あり、万の死を歎くものゝ如く、屍を経つて吼哮し、遂に万の首を啣へて古塚に収め、その側に臥し食を絶つて死した。朝廷これを憐み万と犬とを共に葬ることを許した。  (崇峻紀)

捕鳥部万の奮戦する状、菊池容斎これを『前賢故実』の中に画いてゐる。

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)