懶瓚煨芋
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らさんいもをやく
画題
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解説
画題辞典
唐南岳山の明瓚禪師ほ氏族生縁を知らず、初め遊方して嵩山に詣り、普寂に就き禪法を修し、寂の心契に黙證し人の推重を受く、尋いで衡岳に閑居す、衆僧営作するも我則ち晏如たり、縦へ詆詞蒙るも愧恥なし、時に之を懶瓚と目す、唐の徳宗其名を聞き使を遣り之を招かしむ、使者其室に至り、宣言す。天子詔あり尊者當に起つて恩を謝すべし。時に師方に牛糞火を撥て尋いで芋を煨て食ふ、寒涕頤に垂る、未だ嘗つて答へず、使者笑つて曰く、且に尊者涕を拭くべし、師曰く、我豈工夫俗人の為めに涕を拭くあらんや、竟に起たず、使回て奏ず、図する所多し。
雪舟筆紙本小品(岩崎男爵所蔵)
諸方乾山筆(某氏所蔵)
(『画題辞典』斎藤隆三)
東洋画題綜覧
懶瓚和尚は唐南岳の名僧。性懶にして人の残す処を食ふ故に懶残に作る、その経を読むに初めは音先づ悽愴、而して後には喜悦となる、その芋を煨いて徳宗よりの使者を返した逸事は有名で好個の画題となる。
唐南岳明瓚禅師者、未知氏族生縁、初遊方詣嵩山、普寂盛行禅法、師往従焉、然則黙証寂之心契人罕推重、尋於衡岳閑居、衆僧営作我則晏如、縦被詆訶殊無愧恥、時目之懶瓚也、唐徳宗聞其名遣使詔之、使者至其室、宣言、天子有詔尊者当起謝恩、師方撥牛糞火、尋煨芋而食、寒涕垂頣未嘗答使者笑曰、且勧尊者拭涕、師曰、我豈有工夫為俗人拭涕耶、意不起、使包責、徳宗甚欽嘆之。 (禅花蒙求上)
懶瓚和尚芋を煨くの図はよく画かる。
雪舟筆 岩崎男爵家蔵
尾形乾山筆 『芋食僧』 双軒庵旧蔵
雪舟筆 『伝大士徳山三幅対』 藤田男爵家旧蔵
中村不折筆 『煨芋不答宜使』 第九回帝展出品
(『東洋画題綜覧』金井紫雲)