かいだんぼたんどうろう
三遊亭円朝の講談を三世河竹新七が脚色、明治二十五年に五世尾上菊五郎が初演。以後六世菊五郎の演出によって完成された、いわば尾上家の芸。 芝居の眼日は、もちろんお露と召使いお米の亡霊が、恋人新二郎のところへ通って来るところ。役としては、悪玉の関口屋伴蔵(ともぞう)と、忠僕孝助という相反した性格の二役をこなすところに興味があった。六世菊五郎の伴蔵の写実的演技は、この作品の価値を決定的にしたものであった。