御殿山

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ごてんやま


画題

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解説

東洋画題綜覧

昔の江戸名所の一で桜で聞えてゐた、北品川の一角で今は桜もないが、当時は屈指の花見場所として浮世絵にその面影をとゞめてゐる。

御殿山は東海寺の北なり、慶長元和の間此地に省耕の御殿ありし故に、御殿山の号あり、寛文の頃、和州吉野山の桜の苗を植させ玉ひ、春時爛漫として尤壮観たり、弥生の花盛には、雲とまがひ雪と乱れて花香は遠く浦風に吹送りて磯菜摘海人の袂を襲ふ、樽の前に酔を進むる春風は、枝を鳴らさず、鴬の囀りも太平の楽を奏するに似たり、沢庵の歌に

夕暮を惜まむ花の木の間より早指登る海越の月

といふがあり。  (江戸名所図会)

御殿山を画いたものでは広重の作が名高い。

一立斎広重筆  『御殿山花盛』    東都名所の内

同       『御殿山遊興』    江都名所の内

歌川豊広筆   『御殿山美人観桜』  武岡豊太氏蔵

(『東洋画題綜覧』金井紫雲)